日雇い派遣のお仕事
会社の経営者は雇用保険に入ることができないため、会社を畳んで転職をするとしても、失業保険をもらうことはできません。
そのため、転職ができるまでの生活費は、前もって残しておく必要があります。
もしくは、アルバイトをしながら求職活動を行うか。
僕の場合、求職活動に専念できる余裕がなかったので、スポットのアルバイトをしながら、職探しを行いました。
とは言え、60歳のシニアでアルバイトは簡単に見つかるのか?
実は、仕事を選ばなければ、年齢不問のアルバイトは結構あります。
人材派遣会社に登録して、自分が行きたい日程を検索すれば、工場での作業や店頭販売、イベント準備など、多くの仕事が見つかります。
私も、派遣会社を通して、工場での作業のアルバイトに応募し、実際に業務を行ってきました。
内容は、「ビールの販売促進キャンペーンのために、ビールの6缶パックにキャンペーンシールを貼るお仕事でした」
シールを台紙から剥がして貼るだけなら、こんな簡単な作業はない!ということで、行ったのですが・・・
作業場所は、運送会社の倉庫です。
メーカーからキャンペーンシールを貼るビールを作業場に運ぶのも物流、キャンペーンシールが貼られたビールを販売店に運ぶのも物流。
運送会社としては、作業ができる倉庫を持っていれば、運送費も稼げ作業賃も稼げるというWで美味しい仕事なのでしょう。
指定の時間に運送会社の受付を通り、敷地内の指定場所に集合するのです。
私は、自宅から原付バイクに乗って向かいました。
運送会社の受付を済ませ、作業者の登録をするために並びます。
派遣会社から派遣され、並んでいる人たちの中には、何度も顔を会わせている人がいるようで、あちらこちらで挨拶がされています。
もちろん、私には顔見知りもおらず、ほっと一息。
間違っても、私の面が割れている人に会ったなら、何と言い訳していいのやら。
言い訳が浮かばなくて、もし声を掛けられても他人の空似のふりをしようかとも。
作業者の登録が終わると、倉庫内の白線が引かれた歩行者エリアを列を組んで作業場所まで進みます。
作業場所は、5分ほど歩き階段を上った2階のフロア。
トイレは、登録作業をしたプレハブの横まで戻らないとありません。
一度、作業場所を離れてしまうと、同じような鉄の扉ばかりの大きな倉庫内、2度と作業場所に戻れそうもありません。
実際、お昼の休憩から戻るに戻れなくて、他の作業者らしい人に尋ねて、やっと元の作業場に戻れたのですから。
で、実際の作業はどうだったか、ですか?
それは、それは、大変な作業でした💦
ビールのパックシールを貼るのは、例外なく女性の担当になっています。
私が担当したのは、500mlの6缶入りパックが4ケース入った、床に置いてある段ボール箱をパレットから下ろし、作業台に乗せた段ボール箱からパックを取り出し、シールを貼る作業をしやすいように並べ、その上に、空になった段ボール箱を手でつぶし、つぶした段ボールを重ねてパレットに置くという作業です。
それが、何時間も繰り返されるというもの。
長年そういうことをやっているらしいパートリーダーのおばはんからは、「作業が遅い」とか「段ボールの潰し方が下手」とか、散々罵倒を受け続けました。
いや、これまで舌先三寸で仕事をしてきた60歳のシニアには、まさしく肉体労働。
多くの段ボールをつぶす作業なども、これまでの人生で、したことはありません。
挙句の果てに、段ボールを潰す軍手の指先からは血が滲んでいるではないですか。
そのことも見咎められ、商品に血が付いていないか再チェック。
やっとのこと夕方に作業が終わると、身体じゅう筋肉痛、おばはんからの罵倒でプライドもズタズタ、「もう二度と来るものか」と心に誓って、原付バイクにまたがり、運送会社を後にしたのでした。